こんにちは、デジカルの藤本です。

前回偉そうな記事を書いた上に、更に恐縮なのですが、今回は「書籍の出版」に関する話をしたいと思います。

「出版」は終わったのか?

我々デジカルはこれまで出版物の企画・編集・デザイン・製作にまつわるサービスを永年続けてきました。いわゆる「出版業界」にお世話になって来たわけです。

その出版業界の不振については、みなさんご存知の通りかと思います。この15年で、書籍販売額・書店数ともに3割減という悲惨な事態が続いています。

日販:出版業界の現状(http://www.nippan.co.jp/recruit/publishing_industry/current_status.html

僕が生まれた1992年から、消えていった出版社は800社以上あり、今や業界の命脈はほぼ断たれたも同然、と言っても構わない現状です。

ただし、ここで重要なのは「出版業界の危機」は「出版の危機」ではない、ということです。

読書体験の総量は増えている

よく、「若者の読書量が減った、嘆かわしい」というニュースを耳にします。でも、あれって、違うと思うんですよね。

スマホの普及により、電車内で「何かを読んでいる」人って増えていませんか?

実感として、自分の生活の中で「何かを読んでいる時間」って少し前に比べてかなり大きくなっていませんか?

(もちろんゲームやコミュニケーションを取っている時間も多いですが)

もちろん、それは漫画だったりニュースだったりSNSだったりするとは思いますが、「誰かが発信した情報を受け取る人」というのは確実に増えています。

特に、いつでもどこでも読める漫画などではその影響が顕著に出ています。

つまり、出版業界の不況というのは、「旧来の手法で作られた、旧来のコンテンツを、旧来のデバイスで読む人間が減った」だけ。実は、僕達はかつてよりももっとたくさんの情報に触れる生活をしているんです。

以下のグラフにもある通り、スマホ利用者全体の約45%が一日に3時間以上スマホを利用しています。

更にそこから、50%程度の時間を、SNSやゲーム以外、つまりニュースやブログ、動画から「外部の情報を摂取すること」に費やしている。

私たちの読書体験の総量は増えています。それは「スマホを通じて、WEB上で入手できるコンテンツを消費する」という形式の読書なんです。

「出版」の意味は本来もっと広い

出版という言葉を辞書で調べると、以下のような説明がなされています。

[名](スル)印刷その他の方法により、書籍・雑誌、並びにそのデジタルデータなどを製作して販売または頒布すること。

活版印刷という技術が中国で発明され、15世紀にグーテンベルグによる開発を通じて爆発的に普及して以来、「出版」という行為は「紙あるいは本というデバイスに、物語や知見などの情報を掲載し、頒布する」という形態で受け継がれてきました。

その形態は現代に至るまで、ほとんど変わっていません。

歴史上、グーテンベルグの活版印刷を最も活用したのは、宗教改革を断行したマルティン・ルターでした。このとき、彼が「出版」という行為に見出した利用価値は「同じ品質・同じ内容のコンテンツを、一度に大量の人に理解してもらう」という特性です。

そこで、原義まで立ち返って再認識すべき出版=Publishの価値は、より多くの人に、より早く、より正確に、より良い情報を伝えること、にあると思います

あるいは、読者に、読む・知る・分かるという体験を提供すること

すなわち我々出版に携わる人間は、純粋な「情報発信」と、それによる課題解決を追求する必要があるんです。

しかし、残念なことに、出版業界はこの20年でインターネットがこれだけ普及し、スマホなどのデジタルデバイスが世の中全体に行き渡ろうとも、「紙に刷って売る」ことを続けています。

そういった意味では、「旧来の出版業界の終わり」は、インターネットメディア・SNS・ブログなど「現代において、より出版の役割を果たせるもの」への世代交代なのでしょう。

誤解のないように言っておきますが、書籍の価値が無くなったわけではありません。

メールが普及して手紙の持つ価値が変わり、ポップミュージックが普及してクラシックの価値が変わったように、無くなりはしないが価値が変容し立場を変えたものの中に「本」というデバイスが含まれつつある、という事です。

「書籍の出版」は手段の1つ。目的ではない。

出版という行為には、原則その情報の製作者、つまり著者がいます。

専業の作家や漫画家でもない限り、著者にはその専門分野(食い扶持)がある場合がほとんどです。大学教授や企業経営者などですね。

そうした著者にとって、出版の目的は本当に多種多様です。

  • ノウハウや知見を世に広めたい
  • 物語や作品を読んで欲しい
  • 本業の集客に繋げたい
  • ブランディング
  • 作家として成功したい
  • 印税で儲けたい
  • 本を出すことそのものへの憧れ etc…

こういった玉虫色の願いを持って、著者さんは出版社の門戸を叩きます。

それに対する施策が、一様な「書籍の出版」で良いのでしょうか。

著者さんにはそれぞれの要望や課題があり、それに適した発信の方法を模索する余地があります。

何より、一様の「書籍」というデバイスでパッケージされ「書店」を通じて「購入される」ことでしか発信できない、旧来の出版スキームに自分の伝えたいメッセージを押し込めるのは勿体無いと思うのです。

著者の方々の目的に応じて、SNS・ブログ・WEBサイト・電子書籍・紙の書籍といった、ミニマムなメディアを多面的に組み合わせて、価値あるコンテンツの発信方法を構築することが、今できる出版の最新形態であり、従来の「書籍出版」はあくまで「発信ツールの一選択肢」にすぎません。

実の所、多くの著者が出版に寄せる期待は、印税や出版実績ではなく、お客様や読者の方々との関係構築ではないでしょうか。

そのための最善策は果たして「本」なのでしょうか。

あなたらしい「出版」の方法を、考えます。

ぶっちゃけると、今は一億総メディア化社会、SNSとブログは誰でも無料で開設できますし、書籍だってWordをPDFにして電子書籍化することは可能です。

そんな中で我々が提供する「出版」は、一見、高価に見えるかもしれません。

しかし、このように媒体に囚われない課題解決型の総合編集・出版サービスを提供できる出版社は他にありません。

皆さんがお持ちのコンテンツを磨き、価値ある文章に整え、魅力的で発信力の高いメディアから発信させつつ、書籍としても市場に流通させながら、最終的に著者の方の利益となる施策を講じる。

そうしたサービスをデジカルは展開しています。

サービス名はEditorial Media Design。略称EMD。

EMDの高度かつ柔軟な編集・出版サービスを、今以上に多くの方々に提供していければ、と考えています。

詳細は次回ブログ更新でお伝えいたします。

それでは!